象徴、ゆがみ、そして変容の関係が、彼女の意図するところひとつの定式である。ユーチェン ワンの有機的な、あるいはバイオフォーミック(生体増殖)なフォームを繊細に描いた鉛筆によるドローイングは、抽象的なラインがラインでなくなり、少しの陰影をつけながら、何か別のものを象徴する形に変わっていく瞬間を探求する。 ワンのドローイングはこれらの形に明確なアイデンティティを与えることはない。象徴と装飾的形体の間にあり、これらが表すものが何であるかというヒントをあちこちに散りばめながらも、 ラインが対象物の中に 集まり形作られ、対象物に溶け込んでいく、または単なる輪郭やスケッチの中の背景にとけこんでいく、 つまり、常に何処かと何処かの間の状態であり続けるのである。
テキスト JJ Charlesworth 2007
ユーチェン ワンのドローイングは色彩豊かに構成された花と機械が融合する 美しい作品である。しかし、そこにはいわゆる花や機械とは異なった、何か異質なものを感じさせる。 サッカリン漬けのような美しさと鮮明さをもった花に 遺伝子配合されたかのような、マシーンはその使用目的が不明、もしくは あまりにも不必要に強調されているかのように描かれている。ドローイングは 実験室以外どこでもあり得ないような、真っ白な無機質な背景の上に宝石のように浮かびあがるのである。
UltraCreature,からの引用 City Inn Westminster. London 2008
ユーチェン ワンのカラフルなドローイングは抽象的な有機的な形となり、壁に張り巡らされた紙全体に拡がり、さらにそのまわりの壁にものびていく。彼女の造形は内から外へ、そして外から内へ、途中で反応仕合い 、動物や植物における生物機能的美しさを想像させるものと昇華する。イメージは綿密に描きこまれた部分とスケッチのような部分とが流動的に描かれ、我々は、継ぎ目のない様々なグラフィック作品をみているような感覚をもつ。展覧会会場の壁上で電気ソケットの上にを描くということは、それがあたかも彼女の紙上のドローイングと鏡面イメージとなり、作品を通してイメージが途切れる事のなく増殖を続けているのである。
テキスト Alasdair Duncan 2008